●はじめに
日本の世界平和統一家庭連合は『独生女論』のテキストや講義案を公開しない。これでは韓鶴子総裁の奉じる『独生女論』の全体像把握は困難である。また『独生女論』は、その神学的形成が韓国鮮文大学神学部で構築されており、日本ではその翻訳文の入手がほとんど困難であった。
ところが、まことにありがたい本が登場した。
金瑽錫 (著)、内村鑑一 (翻訳)『天の父母様聖会の独生女論の形成と展開』という書籍である。(*amazonで現在も販売中です)著者は鮮文大学で博士学位を取得した人物で統一教会(鮮文大学)の内部事情に精通している。そこで、本稿はこの書籍に準拠するかたちで、日本の統一教会(成約聖徒)に難関至極な『独生女論』を分かりやすい形でその中核部分を紹介することとしたい。
■■■ポイント考察01
天の父母様聖会『独生女論』主要テーゼ
■■■ポイント考察02
韓鶴子総裁『独生女論』血統問題の対照表

■■■ポイント考察03
鮮文大学教授を中心とした『独生女論』形成過程
■01)基礎論種蒔き期(急進的フェミニズム)
01)金恒濟「真の父母としての啓示」『成約牧会』(1998)第42号
02)崔ユシン「統一思想の男女平等論に対する考察」『統一思想論業』(2000)第8集
03)文善英「統一教会の原理講論に現れた女性」『統一神学研究』(2002)第7集
04)金恒濟「真の父母神様と真の母神様」『韓鶴子総裁還暦記念文集』(2003.2.6)
05)金顕光「女性時代の宣布と世界完成」『韓鶴子総裁還暦記念文集』(2003.2.6)
06)文善英「統一思想に現れた女性」『統一思想研究』(2003)第4集
07)文善英「母なるメシヤに対する研究」『新宗教研究』(2003年秋)第32集
08)金ミンジ修士論文「統一女性神学定立の為の一研究、キリスト教女性神学の女性解放概念と主要主題との比較」(2004.12)(金恒濟指導論文)
09)文善英「世界平和統一家庭連合の経典全般を通して見られる女性理解に関する研究)(2006.博士論文、金恒濟指導)
10)文善英「統一教会の女性理解とその現代的含意」『新宗教研究』(2010)第22集
⇒金恒濟は青年時代「解放神学」に傾倒し、その後「フェミニスト神学者」になった人物で金善英はその弟子である。その思想の中核は「反男性主義」「反家父長制」である。
■02)独生女論定立期
01)文誉進「両性平等回復の必要性」(2016.8.)天一国学術苑創立総会及び第1回学術シンポジウム
02)金振春「真の父母様の独生子・独生女研究」(2017.2.7)孝情学術苑創立総会
⇒初の体系的『独生女論』
03)金振春「独生子・独生女真の父母様」資料集
⇒2017年4月、創始者の有原罪堕落血統を講義すると現場教区長から猛反発を受ける
04)柳慶錫・博士論文「世界平和統一家庭連合の真の母メシヤ論研究」(2018)
05)呉ヒイル「統一神学の男女平等論に関する考察」『統一思想研究』(2020)18集
06)韓鶴子自叙伝『人類の涙をぬぐう平和の母』(2020年)
07)金振春「お父様の尻尾論」を韓鶴子総裁指示により講義(2022年)
■03)独生女論完成期
01)『独生女神学研究(Ⅰ)』(2023.5.5)共著者:黄ジンス、呉澤龍、朱ジュワン、金ミンジ、安ヨンフイ
02)『独生女神学研究(Ⅱ)』(2023.12.22)共著者:朱ジュワン、呉澤龍、黄ジンス、呉ヒイル、金ミンジ、朴スホン
⇒この『独生女神学研究』の発表は、韓鶴子総裁が鮮文大学神学部教授たちに「独生女論」研究を強要し、金振春論文発表以後も様子ながめをしていた教授たちが、基元節から10年経過した段階でついに韓鶴子総裁の軍門に降ったことを意味する。
⇒とりわけ、『独生女神学研究Ⅱ』は文鮮明師は有原罪、韓鶴子独生女は無原罪という血統論の部分に直接言及している。
■04)『独生女神学研究』の主な要旨
01)男女平等時代に合わない「統一原理」を捨てよ
02)陽性(男性・夫)と陰性(女性・妻)の位階的秩序はない
03)父中心の家父長制である統一原理は捨てなければならない
04)男性-女性の二元論と男性らしさ、女性らしさは男女平等時代に捨てなければならない
05)天の父母様聖会の中心は「天の母」である
06)男性メシヤと女性メシヤは各々主体である
07)韓鶴子が救援の中心である
08)文鮮明師の「統一原理」は男性中心の「家父長制神学」である
09)独生女論は完全な「女性解放の時代」を拓いた
●おわりに
天の父母様聖会の中核的教義である『独生女論』が、わかりやすく公の場に提示されたことに心から感謝申し上げたい。
韓鶴子総裁が信奉する『独生女論』が、文鮮明師が解明した『統一原理』とどこが違うのか。その差異は何か。両者の関係が「相互補完関係」にあるのか、それとも「相互対立関係」にあるのか、読者の判断を仰ぎたい。
また、この『独生女論』の教義の基に編集された『天一国経典』が、果たして統一教会信徒(成約聖徒)の正統経典となりえるのか否かもご検討いただきたい。
2013年基元節を境に登場した韓鶴子総裁『独生女論』統治時代が、今年2025年で12年の節目を迎える。結論として『独生女論』に基づく天の父母様聖会は、文鮮明師が創設した「世界基督教統一神霊協会」とはまったく異質の宗教である。
著者はこの『独生女論』は、早晩この地上から姿を消すであろうことを予測している。
祈り。アージュ!
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