◆「旧統一教会の不法請託」韓鶴子総裁の一審、来月10日に審理終結へ――特別検察が求刑
イ・ユンソク記者
2026年6月19日16時59分
韓鶴子総裁「尹泳鎬氏に裏切られたと感じる」
尹泳鎬氏「包括的な権限は与えられていなかった」
「政教癒着疑惑」の頂点にいると指摘されている、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁に対する裁判が、来月10日に終了する予定である。
ソウル中央地裁刑事合議第27部(裁判長・禹仁成〈ウ・インソン〉部長判事)は19日、韓総裁らに対する政治資金法違反、請託禁止法違反などの罪に関する続行公判を開いた。
裁判部はこの日、韓総裁と尹泳鎬・元統一教会世界本部長に対する被告人質問と、書証の取り調べを行った。
韓総裁は、金建希特別検察チーム(特別検察官・閔中基)と尹元本部長側からの質問に対しては、その大部分について供述を拒否するか、「記憶にない」と答えた。
ただし、韓総裁側の弁護人が、
「非常に信頼し、かわいがっていた尹元本部長が、韓総裁に知らせず独断で業務を処理し、今になって韓総裁に責任を転嫁していることをどう思うか」
と尋ねると、韓総裁は、
「裏切られたと感じます」
と答えた。
尹元本部長が、当時大統領当選者だった尹錫悦氏と面会した事実についても、韓総裁は、
「後になって知った」
と述べた。
また、国民の力所属議員に対する後援金の支給についても、尹元本部長から報告を受けたことはないとして、自身との関係を否定した。
一方、尹元本部長は、自分には実質的に包括的な権限が与えられていなかったと主張した。
尹元本部長は、
「統一教会では、会長などの人事は総裁が発表し、財政についても同様です。特別行事のような事案は総裁に報告し、上層部の決定を受けるため、私に権限があったという主張には同意し難いです」
と述べた。
ただし、自分と韓総裁、鄭元周・元総裁秘書室長の3人が共謀し、尹錫悦前大統領を組織的に支援するため協議したのかという質問には、
「大きな枠組みでは、そのとおりです」
と答えた。
裁判部は来月10日、特別検察側の最終意見と求刑、韓総裁らの最終弁論と最終陳述を聞いた後、審理を終結する予定である。
韓総裁は、鄭元周・元総裁秘書室長、尹元本部長らと共に、第20代大統領選挙を控えた2022年1月5日、尹錫悦前大統領の最側近とされる「国民の力」の権性東議員に、現金1億ウォンを渡したなどの容疑で、昨年10月に起訴された。
韓総裁らはこのほかにも、国民の力所属議員らに対し、「分割後援」の形で教団資金約1億ウォンを提供した容疑や、「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏を通じ、金建希夫人にシャネルのバッグなどを贈った容疑も受けている。
韓総裁は先月29日、拘束執行停止期間が延長されたことにより、一時的に釈放された状態で裁判を受けている。
(飜訳記事・おわり)
◆記事の解説
1.7月10日は「判決日」ではなく「結審予定日」です
この記事でいう「裁判が終わる」とは、一審判決が言い渡されるという意味ではありません。7月10日に予定されているのは、いわゆる結審公判です。当日は、通常、次の順序で進みます。
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特別検察側の最終意見
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特別検察側の求刑
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弁護人の最終弁論
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被告人の最終陳述
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裁判長による審理終結の宣言
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判決期日の指定
韓国裁判所の案内でも、検察官の意見・求刑、弁護人の弁論、被告人の最終陳述後に審理が終結し、その後に判決が言い渡されると説明されています。通常は結審から約2週間後が一つの目安ですが、事件が複雑な場合はさらに期間が空くことがあります。したがって現時点では、
-
7月10日=求刑・最終弁論
-
判決=7月10日より後
-
具体的な判決日はまだ発表されていない
という理解が正確です。順調に結審すれば、7月下旬から8月ごろに一審判決が言い渡される可能性がありますが、これは現時点での推測であり、確定日程ではありません。
2.6月12日の結審予定は事実上、7月10日に延期されました
当初は6月12日に特検側の求刑と最終弁論を行い、審理を終えるとの報道がありました。しかし、6月12日の第29回公判では、韓総裁が約10分間の意見陳述を行った後、質問への証言を拒否するなど、証人尋問が行われました。韓総裁はこの場で、権性東議員への1億ウォン提供や金建希氏への贈り物を否定し、尹泳鎬氏が「多くの虚偽を作った」と主張しました。さらに6月19日にも、韓総裁と尹元本部長への質問、書証の取り調べが続けられました。その結果、最終的な結審予定日が2026年7月10日に変更されたことになります。つまり、以前伝えられていた「6月12日結審」という予定は実現せず、裁判所が必要な尋問や証拠調べを続けたため、約1か月延期された形です。
3.最大の争点は「尹泳鎬氏の独断」か「韓総裁の承認・共謀」か
今回の記事で最も重要なのは、韓総裁と尹元本部長の主張が真っ向から対立したことです。
韓総裁側の主張
韓総裁の立場は、概ね次のように整理できます。
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尹元本部長を信頼していた
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しかし、尹氏が秘密裏に独断で行動した
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尹錫悦氏との面会は後から知った
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国民の力への後援金について報告を受けていない
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現在、尹氏が責任を韓総裁に転嫁している
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そのため「裏切られた」と感じている
これは法律的には、不法な資金提供や請託について、韓総裁には認識も承認もなかったという防御です。
尹泳鎬氏側の主張
これに対して尹氏は、
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自分には自由に人事や財政を決定する包括的権限がなかった
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人事は韓総裁が決定・発表した
-
財政や特別行事も総裁への報告と決裁が必要だった
-
韓総裁、鄭元周氏、尹氏の3人による組織的支援については「大きな枠組みでは合っている」
と供述しています。
これは、自分一人の独断ではなく、教団最高指導部の意思決定に基づく行動だったという主張です。
以前の公判でも韓総裁と尹氏は、違法な指示の有無をめぐって法廷で直接対立していました。
4.「大きな枠組みではそのとおり」という供述は検察側に有利です
尹氏の今回の供述の中で、特に重要なのは、
韓総裁、鄭元周氏、尹氏が、尹錫悦候補を組織的に支援するため協議したことは「大きな枠組みではそのとおり」
と認めた点です。
これは、特別検察側が主張する、
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教団による組織的な政治支援
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政治家への資金提供
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教団の懸案事項を実現するための請託
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韓総裁を頂点とする意思決定
という構図を補強する証言になり得ます。
ただし、この一言だけで韓総裁の有罪が決まるわけではありません。
裁判所は、
-
「組織的支援」が合法的な選挙支援を意味するのか
-
違法な現金提供や贈答まで韓総裁が知っていたのか
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個別の支出を誰が承認したのか
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報告書、メッセージ、録音、会計資料と供述が一致するか
-
尹氏の供述に責任転嫁や自己防衛の動機がないか
などを総合的に判断します。
5.韓総裁の「裏切られた」という発言の意味
「裏切られた」という言葉は感情的には強い表現ですが、それ自体が無罪を証明するものではありません。
むしろ裁判所にとって重要なのは、
-
尹氏が実際にどの程度の権限を持っていたのか
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韓総裁への報告・決裁制度がどのようになっていたのか
-
過去に尹氏がどのような形式で報告していたのか
-
韓総裁が成果報告を受け、評価・承認した事実があるか
という客観的証拠です。
韓総裁側は「尹氏の独断」を強調していますが、尹氏は「人事、財政、特別行事の決定権は総裁側にあった」と反論しています。このため、教団内部の正式な決裁書だけでなく、口頭報告、側近を通じた報告、事後承認も重要になります。
6.供述拒否は直ちに有罪を意味しません
韓総裁は特検や尹氏側の質問に対し、多くの場合に供述を拒否するか、「記憶にない」と答えています。
刑事被告人には黙秘権があるため、供述を拒否したこと自体をもって有罪とすることはできません。
ただし、防御上は次のような影響があります。
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尹氏の具体的供述に対する韓総裁本人からの詳細な反論が残らない
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「尹氏の独断だった」という主張を、具体的事実で説明する機会が少なくなる
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裁判所が書類・録音・他の証人の供述を中心に判断することになる
韓総裁側としては、本人の供述よりも、弁護団による証拠分析と最終弁論で反論する方針と考えられます。
7.6月30日に拘束執行停止が満了します
韓総裁の現在の拘束執行停止は、2026年6月30日午後2時までとされています。病院に滞在し、事件関係者と接触しないことなどが条件です。
一方、結審予定日は7月10日です。
したがって、今後の重要な点は、
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韓総裁側が再度延長を申請するか
-
裁判所が再延長を認めるか
-
延長されない場合、6月30日に再収容されるか
ということになります。
再延長されなければ、韓総裁は拘置状態に戻ったうえで7月10日の結審公判に出廷することになります。
6月19日付の記事には、新たな延長決定についての記載はありません。
総合的な見方
今回の6月19日公判は、韓総裁にとって必ずしも有利な内容とはいえません。
韓総裁は一貫して「尹泳鎬氏の独断」を主張していますが、尹氏は、
自分には包括的な権限がなく、重要な事項は総裁に報告して決定を受けていた
と供述し、さらに組織的な尹錫悦支援について「大きな枠組みでは合っている」と認めました。
したがって、7月10日の特検求刑では、特検側が韓総裁を単なる名目的指導者ではなく、政治支援・資金提供・請託の最終的意思決定者または共同正犯として位置づけ、相応に重い刑を求める可能性があります。
一方、弁護側は、
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尹氏の供述には責任転嫁の動機がある
-
韓総裁が個別の違法行為を知っていた直接証拠はない
-
教団の政治的活動と違法な資金提供を区別すべきである
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高齢、健康状態、実際の指揮・決裁過程を考慮すべきである
などを最終弁論で強調すると考えられます。
現時点での最大の注目日は、まず6月30日の拘束執行停止満了、次に7月10日の特検求刑・結審公判です。
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