
1.家庭連合・広報渉外局のコメント
2026年6月23日、「家庭連合 元広報渉外局」のサイトに、
「6月22日最高裁決定について」
というコメントが掲載されました。
◆家庭連合・元広報渉外局による【6月22日最高裁決定について】
同サイトは、東京高裁の解散決定後、新団体を準備する間、「信仰共同体の本部としての見解」を発表する広報窓口として開設されたものです。したがって、現段階では家庭連合側の公式見解に相当すると考えてよいでしょう。
◆コメント全文
宗教団体 世界平和統一家庭連合
広報渉外局本日、最高裁判所から、家庭連合に対する宗教法人解散命令に対する特別抗告棄却の決定(6月22日付)が送達されました。当団体としては、高裁決定の問題点を最高裁に訴えてまいりましたが、聞き入れられることなく抗告棄却決定が下されたことは大変遺憾です。
本年3月4日に高裁決定が下されてのち、即刻清算手続きが開始されましたが、それに伴い全国に300以上あった教会施設は一切立ち入りができなくなり、その状況は現在もなお続いています。清算業務には誠実に対応を続けていますが、事実として教会が失われたことによって信徒らは大変な精神的および宗教的負担を強いられており、到底看過できるものではありません。また、裁判所の決定が与える当団体への負の烙印は、非常に残念ながら既に信徒に対する暴力事件を含む多大な影響を生じさせています。
本決定は、これらを「間接的」な影響であるとして一蹴するものであり、あまりにも残念でなりません。今後、信徒およびそのご家族に対する人権侵害が生じないように、皆様に心よりお願いいたします。
以上
2.このコメントの重要なポイント
今回の文書は、最高裁の法的判断を詳細に反論する「法律声明」というより、次の四点を社会に訴える内容です。
① 最高裁の棄却を「大変遺憾」と表明
家庭連合側は、高裁決定の問題点を最高裁に訴えたものの、主張が聞き入れられなかったとしています。
ただし、最高裁決定後に何らかの国内法上の再抗告を行うとは述べていません。国内の司法手続が終了したという現実を踏まえた表現になっています。
② 清算には引き続き協力する
「清算業務には誠実に対応を続けています」と明記しています。
これは、最高裁決定には異議を唱える一方で、清算人の指示や財産管理には協力するという立場です。
③ 信者が受ける実質的影響を強調
声明の中心は、解散命令が単に「法人格を失わせるだけ」ではなく、
- 全国300以上の教会施設が使えない
- 信者が礼拝場所を失った
- 精神的・宗教的な負担が発生している
- 社会的な負の烙印が生じている
という実質的な影響です。
最高裁は、礼拝施設の喪失などは解散命令の「間接的・事実上の影響」であり、信仰自体を法律で禁止するものではないと判断しました。家庭連合側は、まさにこの「間接的影響」という整理を強く批判しています。
④ 信者と家族への人権侵害防止を要請
最後は、教団の正当性を主張する文章ではなく、
信徒およびそのご家族に対する人権侵害が生じないように
という社会への要請で締めくくられています。
解散命令が確定しても、個々の信者への差別、嫌がらせ、暴力などが正当化されるものではない、という立場です。
3.3月5日に堀正一元会長が出した声明
今回の最高裁決定に先立ち、東京高裁が解散命令を維持した翌日の2026年3月5日には、堀正一元会長が個人名で、より詳細な声明を出していました。
その主な内容は、
- 高裁決定は極めて遺憾
- 法解釈の変更を過去の行為に適用することは憲法・国際法上問題がある
- 事実と証拠によらない推測が含まれている
- 改革・改善努力が評価されていない
- 最高裁への特別抗告を準備する
- 清算には誠実に対応する
- 法人格を失っても宗教活動を継続する
- 信者への差別や偏見を避けるよう求める
というものでした。
この3月声明と今回の6月コメントを比較すると、変化が分かります。
| 3月5日の堀氏声明 | 6月23日の広報渉外局コメント |
|---|---|
| 最高裁で争う方針 | 国内裁判終了後の遺憾表明 |
| 法解釈・証拠評価への詳しい反論 | 法律論の詳述はない |
| 宗教活動継続を明言 | 信者の精神的・宗教的負担を強調 |
| 特別抗告を準備 | 今後の法的対抗策には触れない |
| 人権侵害防止を要請 | 同じく人権侵害防止を強く要請 |
今回のコメントは、裁判での逆転を目指す段階から、信仰共同体の存続と信者の人権保護を訴える段階へ移ったことを示しています。
4.新団体についての従来の公式説明
最高裁決定へのコメントそのものには、新団体の名称や設立時期は書かれていません。
ただし「元広報渉外局」は2026年4月20日、新団体について、
- 高裁決定後も信仰共同体は継続している
- 信仰共同体の活動を継続・発展させる新団体を準備している
- 新団体は法令を遵守する
- 過去に問題を指摘されたような活動は行わない
と説明しています。
したがって、現在の家庭連合側の基本姿勢は、
宗教法人の清算には協力するが、信仰共同体自体は消滅せず、新団体によって宗教活動を継続する
というものです。
5.世界日報の論評
家庭連合と関係が深いとされる世界日報も、6月23日付で、
「信教の自由を顧みず推量で家庭連合解散を決定―最高裁」
という批判的な記事を掲載しました。
記事は、
- 2009年のコンプライアンス宣言後の改善が無視された
- 将来、不当な献金勧誘を行う「恐れ」や「可能性」があるという推量が重視された
- 法的には信仰が禁止されなくても、教会施設を失えば実際の宗教活動は妨げられる
- 信者側の陳述が十分に考慮されなかった
と批判しています。
ただし、これは世界日報編集部による報道・論評であり、家庭連合本体の正式声明とは区別する必要があります。
◆現時点での整理
最高裁決定を直接受けた家庭連合側の文書として確認できるのは、6月23日の「6月22日最高裁決定について」が中心です。
内容は、最高裁判断に対する法的な再反論よりも、
- 棄却は大変遺憾
- 清算には誠実に対応する
- 教会施設を失った信者の負担は重大である
- 「間接的影響」とした最高裁の評価は受け入れ難い
- 信者と家族への差別・暴力を防いでほしい
という点に重点が置かれています。
これは、家庭連合側が今後、解散命令自体を覆す運動よりも、新しい信仰共同体の形成、礼拝場所の確保、信者の人権保護、社会的信頼の再構築へ軸足を移していく可能性を示していると考えられます。
(解説・おわり)
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