●この連載は故人であります永田正治先生が執筆した
『事必帰正』の過ち10の解題・アボニムの天的資産を即刻返却せよ! ー顕進様郭錠煥氏の偽りと隠蔽ー
を三回連続で紹介するものです。
永田先生のご冥福をこころよりお祈りいたします。
永田正治 (Masaharu Nagata )
●はじめに
顕進様に従う団体である「家庭平和協会」が、今年(2019年)の5月8日、「事必帰正」という本を出版しました。
郭錠煥氏が10年の沈黙を破って、家庭連合時代の葛藤を書いた内容です。同書は、顕進様と郭氏がアボニムの多くの天的資産を持って家庭連合を去ったのは、アボニムに否があり、自分たちが正しく、犠牲者であったと主張します。また、文亨進二代王と文国進ニムに対する、偽りと隠蔽の批判が多く、とうてい看過できません。本論で「事必帰正」のまちがいを明らかにします。(今回は第1から第3まで)
●第1の解題
最初に「アボニムはメシアではない」と宣言
「事必帰正」には、冒頭に「前提」という、まさにこの本の思想の「前提」となる文章をあげています。
2ページの短い文章ですが、「4」は最も重大な核心問題に触れています。たったの308字ですが、顕進ニムと郭氏の、驚くべきアボニム観を、端的、明確に主張しています。
4.「霊的権限と法的権限の問題」
文鮮明総裁は、カリスマ性を持って統一家を率いた霊的指導者でした。私を含めた多くの人達は、彼をメシア的な人物として認め、その方が神様のみ旨に絶対的で献身的に一生を生きてこられた姿を見ながら、その方を尊敬しました。したがって、文総裁は、統一運動を構成する多くの個人や組織に対して、大変な道徳的かつ霊的な権威を持っておられました。文総裁の霊的指導を尊重する人達が、その方の決定が神様のみ旨と一致したものと受け入れることは、珍しいことではありませんでした。しかし、文鮮明総裁が霊的権威と法的権限を区別され、ほぼ大部分の統一運動の内部組織を統制する法的位置を持たれなかったことを理解することは重要です。(P.5)
限りなく混乱した文章です。これを読んで何を言いたいか理解できる人がいるでしょうか。文章の最初に、前提になる事柄を書くのは普通のことですが、それは、全体を理解しやすいように整理した要旨を書きます。こんな訳の分からない内容は書きません。つまり、これははっきり言えないことなのです。
まず驚愕するのは、「私を含めた多くの人達は、彼をメシア的な人物として認め、...」という部分です。統一食口はみな、アボニムを「メシア」と信じてきました。それが原理が言わんとすることです。そう信じない人などいません。
「メシア的な人物」とは、「メシアのようだが、メシアではない人物」という意味です。長い統一教会の歴史で、アボニムを「メシア的な人物」などと表現した食口がいたでしょうか? 郭錠煥氏も頻繁にアボニムはメシアと繰り返したはずです。何という変節でしょうか。驚きです。
「メシア的な人物」とは「アボニム非メシア宣言」に外なりません。例えば「教祖的な人物」は教祖のような人物ですが、実際は教祖ではありません。
「教祖」ならば「教祖」と言います。多くの宗教教祖がいますが、例えば、天理教ならば「中山教祖」と書きます。中山教祖を「教祖的な人物」などと絶対に言いません。また、はっきり学者と分かる人を「学者的な人物」とは言いません。「サタン的な存在」はサタンそのものではあり得ません。
なぜ彼らは、あえて、アボニムがメシアでないと主張したのでしょうか。それは、本論の続きを読まれれば分かります。彼らが、アボニムをメシアと信じていたらとてもできない背信行為をアボニムに対し繰り返したからです。アボニムを「メシア的な人物」という曖昧な存在にしておかないと、全体の矛盾を調整できないからです。自分たちが裏切ったお方が「メシア」であった事実を曖昧にする狗肉の策です。
次におかしい内容は、「文総裁の霊的指導を尊重する人達が、その方の決定が神様のみ旨と一致したものと受け入れることは、珍しいことではありませんでした」という箇所です。これは、信じられないほどの駄文です。
「文総裁の霊的指導を尊重する人達=全ての食口」と言えます。そして、全ての食口が、アボニムの決定が神様のみ旨と一致したものと受け入れることは、「珍しいことではありませんでした」と言っているのです。いったい、何が言いたいのでしょうか。私たちは、メシア・アボニムの決定が神様のみ旨と一致したものと受け入れて来ました。それを、あえて、「珍しいことではない」と書く本意は、アボニムの決定も必ずしも神のみ旨ではないと言いたいのです。それをはっきり言えないから、いかにも食口も、アボニムの決定も神様のみ旨とは限らないと思っているかのように誤魔化しているのです。
最も深刻な内容はこれです。「しかし、文鮮明総裁が霊的権威と法的権限を区別され、ほぼ大部分の統一運動の内部組織を統制する法的位置を持たれなかったことを理解することは重要です」。これは、アボニムの天的資産を自分の物にしたことを正当化する論理です。
しかも「文鮮明総裁が霊的権威と法的権限を区別された」と、アボニムを持ち出して正当化します。「法的権限」とは、すなわち、「アボニムの資産の法的権限」です。アボニム自身が「霊的権威」と「法的権限」を区別し、アボニムは法的権限を持たなかったから、アボニムの天的資産を所有するのは正当だと言いたいのです。それは偽りです。アボニムは何度も、ご自身の天的資産を返却せよと要求しました。それを区別などしていません。
●第2の解題
10年沈黙のペテン性
自分たちが正しいことをしているにもかかわらず、アボニムや韓氏オモニなどから、記事にあるように、様々な不義で悪質な攻撃を受けたのなら、どうして10年も沈黙を守ったのでしょうか。
「今まで統一家に発生した恥ずべき葛藤と混乱に対して、私は長い間沈黙を守ってきました。息が詰まるような苦痛の伴う時間でした。それでも口を開いて真実を明らかにする勇気はありませんでした。ともすれば、真の父母様と真の家庭の内的な事情を、赤裸々に明かさなければならない立場だったからです」
(P.281)
郭錠煥氏は、「自分が沈黙を守ったのは、真の家庭の内情を明かすことになるから」という、真の家庭のためだという理由をあげます。それが本心ならば、どうして今になって、アボニムをおとしめる、こんな偽りの「暴露本」を書いたのでしょう。
真の家庭のためというのは偽りです。普通、宗教者ならば、真理を中心に行動します。神のみ心、摂理、人類救済を第一に考えます。もしも、アボニムが間違った道を行き、ましてや、韓氏オモニの異端行為がつづく家庭連合に対し、アボニムの聖和後、7年も、その間違いを指摘することなく沈黙を守るなどあり得ません。もっと早く、義憤にかられ、真理はこれだと叫んだはずなのです。
まるで、隠居老人のようです。文亨進ニムが、3年の沈黙を破って、韓氏オモニのまちがいを訴えた行動が宗教者として当たり前の姿です。10年沈黙などという、間の抜けた行動はおかしいのです。これは巧みなカモフラージュです。
●第3の解題
アボニムの天的資産を即刻返却せよ!
理由は、自分たちの行為に極めて不都合なことがあったからです。「事必帰正」が隠蔽していることのなかで、最も重大なことは、郭錠煥氏が、アボニムはじめ多くの人々から何度も言われたであろう、「アボニムから盗んだ資産を返せ」という言葉です。
郭氏は、ヨイドの土地をはじめ、アボニムの多くの貴重な天的資産の管理を任されていました。この世の法律では、名義人である郭氏側に権利があるかもしれませんが、それら天的資産は、メシア・アボニムの所有であり、彼らが所有するなど、真理、信仰の世界では絶対に許されません。世界本部が入るはずだったヨイドに建てられるヨイドパークワンビルも、彼らが所有する天的権利はありません。
私たち食口は、今、彼らが所有する、ヨイドの土地や世界の資産は、当たり前のこととして、アボニムのものと思っていました。郭錠煥氏や顕進ニムのものと思っていた食口など一人もいません。アボニムがみ旨を成すために使われる故、アボニムを愛するが故、アボニムのご苦労が分かる故に、私たちが真心から捧げた献金で天的資産を買いました。そのような資産を、アボニムのみ心に反し、自分のものにするのは、神とアボニム、そして全ての食口に対する、許すことのできない背信行為以外のなにものでもありません。
郭錠煥氏と顕進ニムは、あまりに多くの資産を任されていました。それは全て復帰摂理に必要なものです。ならば、他の人よりも大きな責任が伴います。誰よりもアボニムのみ心に忠実に従わなければなりません。それができないならば、アボニムに資産を返すべきでした。
しかし、アボニムは、2010年7月16日、神山威氏に対し、顕進ニムは10年以上ご自分の意思に従っていないと仰いました。これは録音音声で確認できます。顕進ニムは長くアボニムとひとつにならず、従っていなかったのです。
このように「事必帰正」では、復帰摂理に不可欠なアボニムの資産を自分の物にしているという最も重い事実を隠ぺいしています。そして、アボニムが、顕進ニムと郭氏が、ご自分に従っていないという認識から出る、厳しいみ言、のちには、天的資産を返却せよというみ言を、ひどい言葉として、反対にアボニムを批判します。
そもそも、二人がアボニムに従っていたら、あるいは資産を返していたら、アボニムは厳しいみ言を語る必要はなかったのです。アボニムに厳しいみ言を語らせたのは彼らの背信行為なのです。
アボニムは、ヨイドの土地の前を通るとき、必ず、車を降りて、敷地内でお祈りをしていました。それほど、この土地は復帰摂理において重要なものでした。しかし、土地が郭氏側に奪われてからは、お車の中で、ヨイドの土地を見ることなく、深刻なお顔で通り過ぎるようになったと言います。そのアボニムの心痛を察するとき、彼らが犯した背信行為がどんなに罪深いことであるか分かります。
郭錠煥氏が今「事必帰正」を出した理由は次の事実で分かります。4月30日都内で行われた郭氏の講演の最後に、「今年の末か来年中には、みんながびっくりするようなことがある」と言いました。要するに、今、10年の沈黙を破ったのは、彼らの準備が整ったからです。攻勢をかける時に至ったと判断し、「事必帰正」を出したのです。真の家庭のためなどとよく言えたものです。
もしかすると、ヨイドパークワンが完成し、彼らの本部ができるのかも知れません。アボニムの貴重な天的資産を自分の物にしてつくる本部など、神に呪われ、アボニムに苦しみを与えるものであり、そんなところに入った家庭平和協会は、バベルの塔のように倒壊するしかありません。
(つづく)
【永田正治さんのプロフィール】
1954年東京生まれ。高麗大学歴史学科卒業。崇実大学統一政策大学院修士、啓明大学日本学博士課程修了。慶州ソラボル大学勤務(1997—2007)。慶州歴史文化都市造成計画 TF 委員歴任。著作に『北朝鮮関連日本書籍の分析』、『徳川綱吉の儒教政策』など。日本に帰国後は、信者の異宗教交流により宗教間交流の活性化をめざす「異宗教コミュニケーション」を提唱。「異宗教コミュニケーションのすすめ」、「宗教の復権と異宗教コミュニケーション」、「宗教多元主義と異宗教コミュニケーション-遠藤周作『深い河』を中心に」などがある。
「事必帰正」の過ち10の解題
アボニムの天的資産を即刻返却せよ!
-顕進様・郭錠煥氏の偽りと隠蔽-
●目次
●はじめに
●第1の解題 『アボニムはメシアではない』と宣言
●第2の解題 『10年沈黙のペテン性』
●第3の解題 『アボニムの天的資産を即刻返却せよ!』
●第4の解題 『全てアボニムが悪く、自分たちが正しい』
●第5の解題 『文亨進ニムに対する誹謗中傷』
●第6の解題 『文亨進ニムの「家庭連合世界会長」の任命、就任』
●第7の解題 『代身者・相続者、他の者は異端者・爆破者の宣布』
●第8の解題 『万王の王神様解放圏戴冠式』
●第9の解題 『国進ニムに対する批判』
●第10の解題 『家庭平和協会にとって、メシア・アボニムとは?』
●おわりに 『私たちは何によって救われるのか?』
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