「家庭連合」の研究

すべての成約聖徒は三代王権に帰りましょう!

●真の父母は、ユダヤ教・基督教の伝統の基に使命を果たされます。「聖書」と「原理講論」に帰り、成約聖徒としての使命を全うしましょう!

連載13『永田正治先生選集』独生女論の正体を暴く!(金振春論文の罠)

 

独生女論の正体を暴く!(金振春論文の罠)

 

 

この文書は2018年6月1日の論考です。



永田正治 masaharu  nagata

 


 金振春孝情学術苑長の「真の父母様の独生子・独生女の研究」は、家庭連合神学者の第一人者である金振春苑長が中心になり、組織の中枢で充分に議論され、家庭連合における最高権威の学会で発表された内容です。まさに金振春論文は、韓氏オモニ・家庭連合が、新教義を創り上げようとした一大プロジェクトだったのです。まず、それを御確認ください。   


2017年2月7日・天宙清平修練院 孝情学術苑創立総会国際学術シンポジウム 

主催:孝情学術苑   
主管:ICUS,天一国学術院,世界平和教授協議会,統一思想研究院
後援:総裁秘書室,世界平和統一家庭連合世界本部

 


論文発表までの経緯
(金振春論文の冒頭部分から)

 

 真の父母様の独生子・独生女に関する論議は、2014年6月、真のお母様の勝利帰国歓迎会のとき、初めて公論化された。その後、天一国最高委員会で、独生子・独生女に関し簡単に論議したことがあった。そして、天法院の法制研究委員会において、毎週おこなわれたセミナーを通じ、独生子・独生女と聖婚、真の父母様の生涯に関し発表し、討論してきた。法制研究委員会では、日本協会の教会成長研究院から受け取った関連内容を深く論議し検討した。また、孝情学術苑と天一国学術院において、昨年(2016)の11月から毎週1、2回真摯に論議してきた。ここではアメリカUTSの教授たちの意見も論議した。一方、筆者は元老牧会者会会長団においても何度か研究内容を発表し、真摯な討論と意見を交換した。

 

1.隠ぺいと偽りの神学

金振春論文は、2014年7月1日、韓氏オモニが言った次の話を理論化したものです。

血統転換、私は母胎からだ。皆さんはこれを信じなければならない。お父様の役事はこれだ。イエスさまの顕現とともに、イエス様の使命を継承したそのときが、その瞬間が、お父様は独生子の資格だ。

 韓氏オモニは、金振春論文の内容を全食口に教育せよと命じました。まず、牧会者に講義しましたが、そこで韓氏オモニが予期しなかった異変が起きました。牧会者たちは、アボニム有原罪誕生は、教会に大混乱を引き起こすので、食口には語ってはならないと、勝手に合意してしまったのです。その後、金振春論文は徹底的に隠ぺいされました。

 私は、3月17日、方相逸教育局長に、金振春苑長が、お父様が原罪を持って生まれたと語っている、と言ったら、「金振春会長の話を聞いて皆さん信じるんですか、今?」と、驚くべき答えが返ってきました。教育局長という重責にある人が、金振春論文の内容と背景を知らないのです。おそらく、韓国語で書かれたこの論文を見た人は500人に満たないでしょう。方相逸教育局長も知らないのですから、一般食口が知っているはずがありません。ここには統一教会信仰の根本を破壊する驚くべき教説が書かれているのです。

 この論文は得体の知れない内容です。何を言いたいか分かりません。その理由は、言いたいことを隠す必要があるからです。何度も読み返し、分かったことは、ズバリ以下です。


真のお父様は原罪が全くない状態で誕生したと言うことは難しい。」 (P.244)

真のお母様はイエス様の場合と同じように、血統転換の過程を通じ神の血統をもって生まれたので、原罪がない独生女の立場で誕生することになった。」 (P.248)

 再臨主・アボニムは原罪をもって生まれた。しかし、韓氏オモニとイエス様は無原罪で誕生した。

 これが、金振春論文が言いたいことです。「言いたいこと=隠すこと」というのは、言いたいことが後ろめたい内容だからです。それは詐欺の話術と同じです。詐欺師が最も言いたいことは、後ろめたいものであり、それをはっきり言ったら詐欺であることが発覚してしまいます。ですから、いい話ばかりをしきりに並び立て、言いたいことはオブラートに包んでサッと相手に気づかれないように、話します。

 普通、学術論文は、論者が言いたいこと、すなわち、「学説」をタイトルにし、冒頭にしっかり明示し、それを一貫して強調しながら、論証し、読み手を説得します。私のこの論文もおなじです。彼の論文の異常さは、最も言いたいことである「アボニム有原罪誕生」が、同時に、最も隠したいことだということです。

全40ページの、同論文のページ構成を見てみましょう。


独生子・独生女の説明         …  10 ページ
アダム、エバ、イエスの血統      …   5 ページ
アボニムの有原罪誕生         …  17 ページ
韓氏オモニの無原罪誕生        …   7 ページ


 これを見れば一目瞭然です。アボニム有原罪の説明に17ページも割り当てているのです。金振春論文は、アボニム有原罪誕生が主たるテーマなのです。ところが家庭連合は、独生女論に対し、食口に、「独りむすめ」として、差し障りのない穏やかな内容だけを伝えます。しかし、アボニム有原罪誕生を隠し、韓氏オモニ無原罪誕生だけを語ることは、独生女論の真実、正体の隠ぺいなのです。これは神とアボニム、そして食口を愚弄する悪質な異端行為です。

 

2.「独生女」を強調しなかったアボニム

 金振春論文は、前提になる部分が大きく間違っています。それを三点指摘しなければなりません。金苑長はこのように言います。

「真のお父様は独生子と独生女に対する多くのみ言を与えて下さり限りなく強調した。しかし、多くの食口はこのみ言をよく知らない。ある指導者と食口は、真のお父様は独生女という言葉を使ったことがあるかと質問した(P.217)」。

 しかし、独生女という言葉を聞いたことがない食口の方が普通なのです。アボニムが、独生子・独生女を「限りなく強調した」という言葉は間違えです。もし、アボニムが限りなく強調されたら多くの食口が知らないはずがないからです。アボニムは、1960年代を中心に、独生子という表現を1500回、独生女を180回使いました。独生女は、約40年前に、「180回しか」使っていないのです。食口が独生女という単語を聞いたことが無いと言うのは当たり前のことなのです。あなたは知っていましたか?
 
 また、1500回180回という大きな差は、アボニムが、「独生子・独生女」を一つのものとして、救いの問題を語らなかったことを示すのです。ところが金振春論文では、下に示した目次を見れば分かりますが、「独生子・独生女」をことさら一つのものとして論じています。

1.独生子・独生女の概念と意義  
)独生子・独生女の意味 
)独生子・独生女と真の愛・真の生命・真の血統
)独生子・独生女の不可分の関係
)独生子・独生女と三大祝福
)独生子・独生女とサタンの讒訴・原罪
)独生女・独生女の喪失と復帰
)独生子・独生女の血統転換
)独生子・独生女を探す人類歴史
)人類の独生子・独生女

 1500回使った「独生子」と、180回しか使わなかった「独生女」を、上のように一つの意義を持つものとして論じるのは極めて不適切なことです。更に言えば、私たちは、「独生子」という言葉も、アボニムから聞いた記憶が薄らいでいました。「独生子」も、1990年代以降は多く語らなかった用語なのです。


3.アボニムは私たちに御自身の血統問題は論じるなと命じた

 アボニムの血統問題を考えるうえで、次のみ言が最も重要です。(「み言選集」608巻‐P.276,2009.2.27)

(家庭連合が削除)→あなた達が、何、先生が原罪があるのか、ないのかと言うことができません。神様が原罪のある先生を使いますか?16歳までアダム、エバの血筋が間違っていません。何故16歳を最重視するのですか?16歳までは堕落をしませんでした。その継代を継ぐのです。(家庭連合が削除)→それ以前まで掘り下げて先生が原罪があるのか、ないのかということを自分たちが決定できますか?意味のないことをしています。私がそのようなことを考えずにここで教祖の仕事をし、血筋を正すと言いますか?話もするなというのです。話もするなと。私が尋ねてみると天も話もするなというのです。

家庭連合が削除した赤色の2文と、青色の斜め文字で示した最後の文をつなげると、アボニムの明確な意思が表明されます。

あなた達が、何、先生が原罪があるのか、ないのかと言うことができません。(16歳以前まで)掘り下げて先生が原罪があるのか、ないのかということを自分たちが決定できますか?意味のないことをしています。話もするなというのです。話もするなと。私が尋ねてみると天も話もするなというのです。

 すなわちアボニムは、私たちに対し、御自身の血統問題については論じるなと禁じているのです。なぜでしょうか? それは、人の血統問題など証明不可能なことだからです。誰が原罪なく、誰が原罪があるかなどは、宗教的にも論証できず、科学的にも解明できません。アボニムは宗教世界の頂点に立つメシアである一方、科学的真理も尊重します。ですから、ご自身の血統問題はほとんど語られませんでした。金振春論文は、そもそも証明不可能なことを証明しようとする愚かな試みであり、それ以前に、アボニムが論じるなと禁じたメシアの血統問題を、あえて論じた、天とアボニムに対する恐るべき反逆行為なのです。

 また、アボニムが血統問題を論じなかったのは、韓氏オモニに対する愛です。アボニムが地上におられたとき、統一教会の正統信仰は、「アボニムは無原罪誕生で、韓氏オモニは有原罪の誕生であり、アボニムに接ぎ木されることにより原罪を清算した」というものです。ですから、韓氏オモニが無原罪誕生だったなどと思っていた食口は一人もいません。

 アボニムはご自身の血統について語らず、反対に、韓氏オモニの家系について賛美するみ言をおおく語っています。それは、メシア・アボニムの大いなる愛なのです。金振春論文はそれを良いことに、アボニムのみ言を悪用し、韓氏オモニ無原罪誕生、メシア・アボニムの有原罪誕生をねつ造する、サタンの神学をつくり上げました。

 

4.曖昧表現を多用し主張の明確化を避け、
私たちを欺瞞する。


 西洋のことわざに「曖昧な言葉はウソの始まり」というのがありますが、金振春論文は、「メシアに原罪があった」という重大問題を論じるのに、様々な曖昧表現を頻繁に用います。特に本質問題になると、何を言っているのかよく分からない、明確な論理がほとんどない異常な文章になっています。

《曖昧表現》

 「のみ(만)」:イエス様と韓氏オモニは神の血統のみを持つ。一方、アボニムは、16歳まで神の血統のみを持たず、サタンの血統も持つ。
 「立場(입장)」:メシアの立場、原罪がない立場、独生子の立場など、「血統の問題」を「立場の問題」にすり替える
 そのほか、「身分(신분)」、「資格(자격)」、「権威(위상)」、「品格(품격)」など、到底、血統問題を論じるのにふさわしくない用語を頻繁に用いる。
 基本アイデンティティ(기본 정체성)」:メシアの心を論じるのに、「アイデンティティ」はふさわしくない。それが分かっているので「基本アイデンティティ」という聞いたこともない造語を用いている。


(P.233) 真のお父様の基本的アイデンティティは再臨メシア(再臨主)である。ところがこのアイデンティティーはイエス様を通じ神から与えられたものであり、イエス様の使命を継承、完成することである。 ― (16歳のとき)メシアの身分資格を持つようになった真のお父様は、イエス様と同じように神の息子の立場に立つようになった。そして真のお父様はこのような身分資格使命を神から任命されることにより、サタンは真のお父様に対し讒訴できなくなった。真のお父様のみ言によるとサタンの讒訴がないということはすなわち、原罪がないということである。したがってお父様は原罪がない状態のような立場をとるようになった。それゆえ、イエス様が独生子の立場に立っていたことと同じように真のお父様も独生子の立場に立つようになった。

 ここでも、「メシアの身分資格」、「イエス様と同じように神の息子の立場」、「真のお父様も独生子の立場」などといったあいまいな表現を多用しています。曖昧な語を用いる理由は、この論文が、「アボニムは有原罪で誕生し、16歳の時イエス様の使命を引き継いだ時に無原罪の独生子の資格を得た」という、原理的、聖書的根拠が全くない主張をしているので、それを明確に語ったら食口は誰でもおかしいと思います。

 そのため、「立場」「身分」、「資格」など、血統を語る時、常識的に使わない表現を用い、言いたいことをボカし、隠し、欺瞞の論理を組み立てました。そして遂には、「お父様は原罪がない状態のような立場をとるようになった」、という極限の曖昧表現が生まれました。「状態のような立場(상태와 같은 입장)」で、いかなる意味のあるセンテンスも作ることは不可能です。作ってみて下さい。こんな曖昧な論理でよくアボニムの血統を論じることができました。

 

5.アボニム有原罪誕生の罠

 (P.238-239)ここで我々は、真のお父様が再臨したイエス様からメシアの使命を引き継ぐ前に、誕生のときからメシアの使命を出発しなかったかと考える。すなわち、メシアの使命引き継ぎは16歳のときであったが、メシアとしての使命の実質的な出発は誕生のとき、あるいは、16歳以前でなかったかという可能性を考えてみる。なぜならば、万一、誕生のとき、あるいは16歳以前にメシアの使命を実質的に出発したならば、そのときすでに独生子の権威と品格をもっていたからである。すなわち、その時点で神の息子の立場になり、完全に神の血統のみを持ち、従って、サタンの讒訴条件がなくなり原罪がない立場になるまた、その時点で堕落となんら関係がなくなる

 金振春氏は、アボニムが、誕生してすぐ、あるいは16歳以前からメシアとしての使命の実質的出発をしなかったので、無原罪の人ではなかったと主張しています。ここでも、「メシアとしての使命の実質的出発」という曖昧な表現を用いています。だいたい、「実質的出発(실질적 출발)」って、いったい何ですか? 例えば、金振春氏は、イエス様は無原罪の独生子として誕生したと言います。ならば、イエス様は誕生後すぐにメシアとしての使命の実質的出発をなしたのでしょうか? あり得ません。原理でも、キリスト教でも、30歳から33歳までの公生涯の初めにおいて、メシアとしての使命の実質的出発をなしたと考えるのです。これはメシア論の基本です。イエス様が誕生の時に実質的にメシアの使命を出発したわけがないのです。こんなことでどうして、アボニムの有原罪誕生を証明できるのですか?

 また、「なぜならば、万一、誕生のとき、あるいは16歳以前にメシアの使命を実質的に出発したならば、そのときすでに独生子の権威と品格をもっていたからである。すなわち、その時点で神の息子の立場になり、完全に神の血統のみを持ち、従って、サタンの讒訴条件がなくなり原罪がない立場になる。また、その時点で堕落となんら関係がなくなる。」としています。この文脈のひどい曖昧さを正し、論旨を明確にすれば、「(16歳までのアボニム)は、独生子の権威と品格を持たず、神の息子ではなく、神の血統を持たず、サタンの讒訴条件がある、原罪を持つ堕落人間であった」となります。普通の文章に直せば、この異端説が言いたいこと、すなわち悪意ある本音が露出するのです。

(P.240)すでに見たように、真のお父様は16歳のとき、メシアの使命を受けることにより、メシアの立場に立つようになった。これは神からメシアの使命を任命され就任したことと同じといえる。これにより真のお父様はメシアの身分と権威を持つようになり、再臨したイエス様の協助を受けメシアの使命をはじめた。そのためメシアの立場に立つことにより、神の息子と独生子の身分と権威を持ち、サタンが讒訴する条件はなくなった。また真のお父様は、神の血統のみをもつ立場に立つことになり、従って原罪がない立場になる。

 これも曖昧表現のオンパレードです。ここで指摘したいことは、イエス様とアボニムの関係です。下の文章をご覧ください。

(P.232)このような初臨メシア・イエス様の権威と使命は、再臨メシアという天命を受けた真のお父様に相続された。すなわち、真のお父様に再臨したイエス様を通じ、神から再臨メシアの使命を受けた真のお父様は、イエス様の権威を持って使命を完遂し、準備された独生女である真のお母様とともに、人類の真の父母、救世主、メシアとして創造本然の理想世界を創建しなければならない。」

 このように、金振春論文は、全体を通して、アボニムの16歳召命に対し、あまりにもイエス様の役割を強調しています。私たちは今まで、「アボニムは元来、原罪なく誕生し、16歳の時、神がイエス様を通じアボニムにメシアとしての使命を伝えた」と理解します。すなわち、イエス様は、神とアボニムの中間で、メッセンジャーの役割をはたしたと考えました。個人差はあるでしょうが、普通、私たちは、イエス様の役割を金振春氏の主張のように大きいものとは考えませんでした。しかし金振春論文は、「真のお父様に再臨したイエス様を通じ、神から再臨メシアの使命を受けた真のお父様は、イエス様の権威を持って使命を完遂した」と、明らかに私たちが長く共有してきたメシア観と異なります。アボニムは「エス様の権威を持って使命を完遂した」のでしょうか。アボニムがおられたとき、はたして、そのように考えていた食口がいたでしょうか。金振春論文は、他の部分でも、不自然なまでにイエス様の存在と役割を強調します。

(P.240)そのため、真のお父様は、血統転換や血統復帰の過程が必要なくなる。万一、真のお父様がメシアの使命継承なく、誕生のときからメシアの立場に立とうとすればエス様のような血統転換の過程が必ずなくてはならない。しかしイエス様の再臨として、真のお父様は神から再臨メシアという身分と資格と使命を認められることにより、そのような過程は必要なくなった。これはイエス様からメシアの使命を継承することにより、サタンが讒訴できない神の血統をもつようになったということを裏付けるといえる。

 「万一、真のお父様がメシアの使命継承なく、誕生のときからメシアの立場に立とうとすればエス様のような血統転換の過程が必ずなくてはならない。」こんなことを、アボニム御自身から聞いたことがあったでしょうか? 金振春氏は、何の権利があって勝手にこんなメシア観を立てているのでしょうか? おそらく、私たちの多くが聞かされていたのは、イエス様が血統転換の過程を経たので、その基盤の上に、アボニムは血統転換の過程を経る必要はなかったというものでした。これなどが、長く私たちが持っていたメシアの血統観と言えるでしょう。少なくとも、アボニムが16歳の時に原罪が無くなった、などと考えた食口は一人もいません! そもそも、16歳の召命で、無原罪の独生子になったとすること自体が極めて荒唐無稽な珍説なのです。

 そのうえ、「しかし、イエス様の再臨として、真のお父様は神から再臨メシアという身分と資格と使命を認められることにより、そのような過程は必要なくなった」としています。「身分」、「資格」、「使命」という、公務員や会社員など、職業人ならば誰でも持つタイトルで、メシアの存在、血統を論じることはあまりにも不適切です。もし、この論文のような曖昧表現の多用が認められたら、無原罪の独生子・独生女になれない人はいません。金振春氏は言葉の重さを知らない人です。こんな趣旨が曖昧な論文は見たことがありません。これは学術世界で全く通用しない欠陥論文です。

(P.241)真のお父様の血統に対する両面のみ言が多く発見される。 ― これは、誕生のときにサタンの讒訴がまったく無いと言うことが難しく、したがって、原罪がまったく無いと言うことが難しい点を示唆しているからである。 ― 同時に、これはすでに見たように、誕生のときにメシアの使命を引き継がず、また、誕生のとき、メシアの使命を出発しなかったという点と通じる。なぜならば、メシアの身分と位置は、サタンがまったく讒訴できない純粋な神の血統のみを持つ原罪がない状態であるからである。

 「メシアの身分と位置は、サタンがまったく讒訴できない純粋な神の血統のみを持つ原罪がない状態であるからである」。これを、金振春氏がいう有原罪のアボニムに当てはめれば、「(アボニムは)サタンの讒訴条件があるサタンの血統であり、原罪を持ち、生まれながらのメシアではない」となります。婉曲に表現した上の文は、こういうことを言っているのです。金振春論文の婉曲表現に欺瞞されず、彼が、いったい何を言っているかしっかり見極めてください。

(P.244)このように真のお父様の血統に関して、神の血統と堕落の血統の両面的み言が多くあるが、真のお父様は堕落人間とは明確に異なる血統を持っているということを知ることができる。この状況は重要な三点に集約される。① 真のお父様は原罪が全くない状態で誕生したと言うことは難しい。② 真のお父様は神の血統の側面もともにあるので堕落の血統のみを持って生まれた普通の堕落人間とは全く異なって生まれた。③ 真のお父様は、神の血統のみを持つことになるメシアの使命のため予定され、メシアになる可能性をもって誕生した。

 遂にここで、金振春論文の言いたい核心内容が登場します。それが、「① 真のお父様は原罪が全くない状態で誕生したと言うことは難しい(참아버님은 원죄가 전혀 없는 상태로 탄생했다고 말하기 어렵다)」、すなわち、「真のお父様は原罪を持って誕生した」という結論です。その前の文では、「堕落人間とは明確に異なる血統」と、煙に巻き、つづく、②と③で、「のみ」を駆使し、アボニムの血統の一部を神のものとし、煙に巻いています。また、「神の血統の側面」という、かなりひどい曖昧表現を新たに持ち出し、本旨を隠しています。曖昧表現を濫用し、本質をボカし誤魔化しながら、アボニムが堕落の出生と結論付けています。

 家庭平和協会の金鐘奭博士は、金振春論文を「世界史上もっとも邪悪な文章」、「サタンの道具」と評しました。私も同感です。独生女論は、メシア・アボニムを偽り者とし、統一原理の救いの力を奪う神学です。そして、神の摂理が破綻し、人類を再びサタンのくびきに拘束させます。これ以上邪悪な教えはないのです。

 

6.韓氏オモニ無原罪誕生のねつ造

  韓氏オモニ無原罪誕生を見るまえに、まず、言及しなければならない点がふたつあります。

 〈韓氏オモニはアボニムの三番目の夫人〉であることです。本来、韓氏オモニが血統問題など主張しなければ、こんなことは言いたくもないのです。しかし、真理を知るためには言わなければなりません。韓氏オモニも金振春氏も、一番目、二番目の夫人の血統問題について一切、触れません。これでは、「独生女」の真偽を判断するうえで不可欠な重大事項が欠落しているのです。

 私たちの摂理観は、第一のお母様が責任を果たせず、真の母が立たず、摂理は延長した。第二のお母様も責任を果たさず、真の母が立たず、摂理は延長された、というものです。これは、韓氏オモニが何を言っても崩れない摂理歴史の真実です。そもそも、お二人の失敗がなければ、韓氏オモニはアボニムと聖婚することすらなかったのです。先妻方も独生女なのか否か、その血統問題は避けて通れないはずです。それを言わないこと自体が、韓氏オモニの「独生女論」が、真実を避けた偽りの教説であることを証明します。 

 〈正統信仰の記憶〉宗教が正統信仰を確立できたのは「弟子の記憶」によるものでした。イエス様やお釈迦様も文書で教えを残さず、死後、弟子が集まり、教祖が何を語り、教えの本質は何であったかを、各自の記憶をたどり経典をつくりました。私たちも、アボニムが地上におられた時の正統信仰の記憶が重要です。それは、「アボニムは無原罪誕生のメシアで、韓氏オモニは有原罪で誕生し、アボニムにより原罪を清算した」というものです。

 ですから、天一国最高委員である金榮輝先生は良心宣言で韓氏オモニが有原罪であると語り、アボニムが原理本体論教育を託した劉正玉先生も、韓氏オモニは有原罪だと語りました。日本においても、周藤健先生は「60億人類のなかにただひとり無原罪の方がおられます。そのお方こそ文鮮明先生なのです」と講義しました。もし、私たちのなかに少しでも韓氏オモニも無原罪だという観念があったら到底言えない言葉です。韓氏オモニと金振春の独生女論は、私たちの正統信仰の記憶を否定し、抹殺しようとする恐ろしい異端教義なのです。

(P.248-249) すなわち、真のお母様はイエス様の場合と同じように、血統転換の過程を通じ神の血統をもって生まれたので、原罪がない独生女の立場で誕生することになった。独生女の立場で生まれ、創造本然的成長期間のあいだ神を中心とする生活をすることにより、責任分担を完遂し、第一祝福である個性完成をし、その土台のうえで第二祝福である子羊の婚姻を迎えるようになった。

 韓氏オモニの血統は「イエス様の場合と同じように、血統転換の過程を通じ神の血統をもって生まれたので、原罪がない独生女の立場で誕生することになった」ということです。おかしいのは、アボニムの血統問題を論じるとき、アボニムが、サタンと神、両方の血統を持つと想定しますから、「立場」という曖昧表現で論旨をボカしました。しかし、韓氏オモニは生まれながらの神の血統の独生女なのですから、「立場」ではないはずです。クリスチャンが、「イエス様は罪のない神のひとり子の立場で誕生した」などと言いません。これは、アボニムの血統を論じるときだけ「立場」を用い、韓氏オモニの時は「立場」を用いなければ、論理のおかしさが鮮明になってしまうので、それを避けるために考え出した騙しの手法です。

 例えば、親は子に対し親であり、「親の立場」ではありません。立場を使うならば、親の代わりに子を育てた人が、「親の立場」です。その人は親ではないのです。「立場」を使えば、事実はそうではないのです。こんな用語の使用が真実を語らないことは、金振春氏も分からないはずはありません。分かっていても、論理を明確にすれば、誰でもおかしいと分かってしまいます。それを気づかせないために、このような曖昧表現を使い、独生女論を組み立てねばならなかったのです。金振春氏は、自分がメシアの血統問題を論じているという自覚を持つべきです。かれは天法苑長ですが、こんな曖昧でいい加減な表現を多用し、メシアの血統問題を論じることが、どんなに重大な天法違反であるか真剣に考えなければなりません。

(P.250) 真のお母様の場合、神の血統、無原罪、独生女になるためには、必ず血統転換が必要である。ところで、『み言選集』には特に3数と関連した血統転換のみ言がある。― ① オモニになるためには3代が一人で生きなければならない。② オモニの背後には3代の独女が連結しなければならない。③ 祖母・大母・オモニまで3代の祭物的家庭にならなければならない。④ 3つの教団に侍る歴史がなければならない。⑤ 真のお母様は祖母から母、娘まで3代がひとつにならなければならない。⑥ 3代のエバ的な歴史を経なければならない。⑦ オモニを誕生させるには3代の独女・独り娘が、再臨主に侍るための準備をした。

 以上は、韓氏オモニが無原罪の独生女として誕生することができた7つの条件です。しかし、「3代独女母系」など、多くの条件が、第一、第二のお母様に当てはまりません。当てはまらなければ、第一、第二のお母様は独生女ではあり得ません。ですから、この7つの条件を主張したいならば、お二人が、無原罪の独生女ではないということを論証しなければなりません。そして、なぜ、3番目の夫人だけが独生女として誕生したかも、明らかにしなければなりません。反対に、お二人が無原罪の独生女ならば、7つの条件が独生女を誕生させた条件ということは間違いになります。以上を見ても分かるように、独生女論は、アボニム路程と辻褄が合わない矛盾した不完全な内容です。

(P.253) 独生女として誕生した真のお母様は、神の娘の立場として神の血統を持つようになり、サタンはこのような立場にある真のお母様を讒訴できなくなる。 ― そうして真のお母様は堕落まえのエバの立場に立つようになり、第3エバとして、第3アダムである真のお父様とともに人間の先祖の権威を持つようになる。すなわち、子羊の婚姻を通じ、真の父母・メシア、すなわち、真の父母としてメシアの立場に立つようになるのである。

 「神の娘の立場として神の血統を持つ」、と言っていますが、なぜ、「立場」で血統が決められるのでしょうか?また、「子羊の婚姻を通じ、真の父母・メシア、すなわち、真の父母としてメシアの立場に立つ」と言います。こんな、「メシアの立場」という存在が、どうして人類を救済できるのでしょうか?「立場」「実体」ではなく違うという意味なのです。そもそも、このような論法自体が、限りなくおかしなものです。

(P.254) 真のお母様は2016年2月24日、元老たちを天正宮に招請した場で、「4000年のあいだイスラエル民族が蕩減摂理を通じイエス様誕生させたように、私もまたそのような立場で生まれたので原罪がない」と語った。このみ言はここまで言及した内容と相通じる。要するに、真のお母様はイエス様のような血統転換の過程を経ることによって、サタンの讒訴条件がない無原罪の独生女の立場で誕生したことが理解できるのである。

 金振春論文には、韓氏オモニの言葉が、み言として、アボニムのみ言と同じ価値を持つものとして多数引用されます。いまの家庭連合では、韓氏オモニの語ったことは、どんな内容でも「新しいみ言」なのです。韓氏オモニは、上の例だけでなく、自分が無原罪の独生女であると、あらゆる場で数えきれないくらい言っています。しかも、独生女を、6000年人類が待ち望んだ復帰摂理上の最高存在に高めました。金振春論文の全体を整理すれば、韓氏オモニ、イエス様、アボニムの位置関係が明らかになります。

.韓氏オモニ:神の血統を持つ無原罪独生女として誕生。真の父母となり救済摂理を完成。 
.イエス様 :神の血統を持つ無原罪の独生子として誕生したが、独生女を迎えられず、救済摂理は延長。 
.アボニム :サタンの血統を持つ有原罪の人間として誕生。独生女を迎え、真の父母となり救済摂理を完成

 アボニムが生涯で数度しか語らなかった自身の血統問題を、韓氏オモニは頻繁に強調します。人の血統問題など論証できないもので、「言った者勝ち」の世界です。韓氏オモニがアボニムの証を一切せず、常に自分の血統を誇る、この異常さの理由は、上の比較を見れば明らかです。韓氏オモニが自らの無原罪誕生を強調することは、自分が、イエス様とアボニムを越え、人類史上最も偉大な人間になることなのです。

 

7.再臨主・アボニムと最終一体ではあり得ない、韓氏オモニ

 (P.255-256) 独生子・独生女の概念は、統一原理の理解はもちろん、正しい信仰をするに際しても本質的内容である。独生子・独生女の土台のうえに三大祝福も可能であり、理想世界も可能であるからである。独生子・独生女は天地人真の父母様を信じ、従い、侍るために核心的な内容になる。独生子・独生女は、既存の神学においても別段注目されなかったテーマである。

 上の見解は間違いです。「独生子・独生女」は、原理の理解、正しい信仰をするに際して、特に本質的内容と見ることはできません。なぜなら、アボニムがおられたとき、私たちは「独生子・独生女」を特に意識せずとも、三大祝福完成に向けて歩み、真の父母様を信じ、従い、侍りました。むしろ、反対に、独生女論は正統な真の父母様信仰を破壊するものです。金振春氏はつづいて、「独生子・独生女は、既存の神学においても別段注目されなかったテーマ」と言っていますが、彼の言う通りです。「独生女論」は、既存神学だけでなく、統一原理、統一神学、統一思想においても言及されていません。そんなに本質的、核心的なものだったら、どうしてこれら統一教会の中心思想に表れないのでしょうか? 独生女論は、2014年7月に韓氏オモニが言いはじめ、2017年2月に金振春氏が発表した、論理矛盾満載の、にわか作りの異端神学にすぎません。 

(P.256) 真の父母様は最終一体を成し、天一国の最大勝利を宣布した。 ― 真の父母様は、全ての使命を完成・完結・完了した。 ― 「真のお母様が強調するように、〈今や、真実を明らかにしなければならない時〉に至った」

 韓氏オモニが言う、「今や、真実を明らかにしなければならない時に至った」、の「真実」とは、すなわち、「独生女論」です。独生女論の言及以前に、偽基元節直前の混乱に乗じて、天の父母という得体の知れない神の呼称を採用する一方、アボニムが定められた天一国国歌も電撃的に変えてしまいました。これらはアボニムが認めない重大な異端行為です。それに次ぐ独生女論は、韓氏オモニの異端言動の集大成と言えるものです。 

 アボニム時代の信仰は真実ではなく、アボニムは有原罪誕生、自分は無原罪誕生とする独生女論は、アボニムと韓氏オモニが決して最終一体など成していないことを雄弁に証明するものです。そして、韓氏オモニの逸脱により、真の父母様の使命は完成、完結、完了することなく破綻し、復帰摂理は大きく後退しました。 

 それは、いまの韓国の衰退、世界の混迷様相が如実に示しています。朝鮮半島統一が喧伝されていますが、この統一は北朝鮮金正恩の主導によるもので、アボニムの統一構想である頭翼思想、神主義は微塵も反映されていません。行きつく先は、南北韓の中国への属国化です。

 終わりに、どうしてもひとつ言わなければならないことがあります。エス様がキリストであったこと、お釈迦様が悟りを開いたブッダであったこと、マホメットが最後の預言者であったこと、これら世界史を動かした高等宗教の信仰は、エス様、お釈迦様、マホメット自身が信者に知らしめたものです。アボニムもおなじで、アボニムのみ言と犠牲的歩みで、私たちに御自身がメシアであることを悟らせました。更には、天理教中山みき教祖が神のやしろであること、幸福の科学大川隆法氏がエル・カンターレという救世主であることも、教祖自らの言動で信者に信じさせたのです。 

 しかし、韓氏オモニは、一部の幹部だけに、独生女論の核心を語り、一般食口には語ったことがありません。韓氏オモニの言葉では、独生女である自分は、6000年人類史上、最も重要な宗教的存在なはずです。宗教の歴史では、教祖、聖人が自ら信者に自身の真実を説きました。しかし、韓氏オモニの独生女論は、金振春という学者が信者に説いているのです。数千年に一度あらわれるような聖人が、自分で自分を証明せず、どうして一介の学者に証明させるのでしょう。これほど陳腐なことはありません。 

 しかも、独生女論が牧会者に拒絶されるや、その説を隠してしまいました。この隠ぺいが全てを語っています。なぜ、堂々と、皆さんに独生女論を教えられないのでしょうか?こんないい加減で、出鱈目な宗教がどこにあるでしょうか!

 最後に、みなさんは、この文章の最初を再びご覧になって、金振春論文が、韓氏オモニの命令によって書かれ、総裁秘書室が後援している事実を確認してください。独生女論は、食口の皆さんをアボニムへの背信者とし、耐えがたい地獄に引き入れる、異端・家庭連合の狡猾な罠であることをしっかり見極めていただきたいと思います。
            

●おわり

 

【永田正治さんのプロフィール】

1954年東京生まれ。高麗大学歴史学科卒業。崇実大学統一政策大学院修士、啓明大学日本学博士課程修了。慶州ソラボル大学勤務(1997—2007)。慶州歴史文化都市造成計画TF委員歴任。著作に『北朝鮮関連日本書籍の分析』、『徳川綱吉儒教政策』など。日本に帰国後は、信者の異宗教交流により宗教間交流の活性化をめざす「異宗教コミュニケーション」を提唱。「異宗教コミュニケーションのすすめ」、「宗教の復権と異宗教コミュニケーション」、「宗教多元主義と異宗教コミュニケーション-遠藤周作『深い河』を中心に」などがある。

●たくさんの人が見れるように
応援クリックをお願いします。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 家庭連合へ
にほんブログ村

にほんブログ村 哲学・思想ブログ サンクチュアリ教会へ
にほんブログ村

 

 

 

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 家庭連合へ
にほんブログ村●連絡がとりたい方はメールでお願いします。maile-address: kawahara@yui0123.com